パラシュートは「降下」するだけの道具であったが、パラグライダーは「滑空」することができるモノである。
では、なぜパラグライダーは「滑空(飛行)」できるのか?
それは、飛行機が飛行できるのと同じ原理が働いているからである。
パラグライダーのただの布にしか見えない主翼(キャノピー)に多くの秘密がある。 一言で言うとそのキャノピーは風をはらむことで飛行機の翼と同じ形になるのである。そのため、飛行機の翼の力学(ベルヌイの原理)がパラグライダーにも働くこととなる。その為、落下するのではなく、滑空することが可能となる。
◆ベルヌイの原理とは?
飛行機の翼のような形のものに前面から空気が流れると、その翼によって空気が上側と下側に分かれ、翼の後ろで再び一体となる。
そのとき、上側の方が距離が長いので上側の空気が速く流れようとする。
すると、圧力が低くなり、圧力の性質から高い圧力の方から低い圧力の方へ押し上げようとする力が発生する。これが、「揚力」である。
また、別の力として空気の流れと対抗する形で発生するのが「抗力」であり、これと「揚力」の合成力が「空気力」。この「空気力」と「重力」が釣り合う。(物理的に言えば)
「抗力」とつりあう力が発生し、この力の成分方向にパラグライダーは滑空できるのである。
◆なぜ、安定して飛べるのか?
振り子を考えてもらいたい。重りが左右に動いても必ず元の場所に戻ろうとする。これは、重力の方向に戻ろうとする力の為だ。
パラグライダーを考えてみよう。 鳥となる人が、パラグライダーの下にぶら下がっている形は、逆三角形をなしている。
その下側の頂点に一番重量のある人が乗っており、左右に振られても、元の場所に戻ろうとするため、パラグライダーは安定して飛べるのである。
◆対地速度・対気速度
パラグライダーは風の流れが必要であることを理解してもらったと思うが、では、風の相対的な速度を考えてみよう。
風のない日に車で走っているときは風を感じることも相対的な風の流れである。
例えば、30Km/hで飛行するパラグライダーを考えてみよう。
●風が無い場合
パラグライダーは地面に対して30Km/hの速度で滑空する姿を見ることができる。
●風がパラグライダーに向かって30Km/hで吹いている場合
パラグライダーは地面に対して+-0の止まって見える。
従って、パラグライダーの場合、飛んでいるとき、地上が止まって見えていても何の不安を感じる必要はない。
そのパラグライダーに対して相対的に吹く風の速度が問題なのだから...
●風が追い風で30Km/hで吹いている場合
地上からみると60Km/hの速度で飛んでいるように見える。